DXを進めるべき業務を見つけよう (物流・倉庫業編)
- WIZU-Consulting
- 2024年11月26日
- 読了時間: 4分
物流業や倉庫業は現在大きな問題を抱えています。環境規制の強化や持続可能性への要求だけでなく、そもそも人がいない、人を雇えない、労働時間が厳しく制限されるなど、事業の根本が揺るがされている状況です。
しかし、一部の大手企業を除き、業務のデジタル化の進展が遅れているため、こうした課題の解決が容易ではありません。
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、省人化、労働効率の向上、持続可能なビジネスの構築、そして市場の変化に柔軟に対応するための鍵です。
多くの方がDXの推進の必要性を認識している一方で、実際の取り組みが進まないという現実に直面しているのではないでしょうか。
この「なぜ進まないのか」という課題を共に理解し、DX推進に向けた具体的な方法について議論していきたいと思います。

この図は、物流業・倉庫業における主要な業務プロセスをわかりやすく示した「業務マップ」です。この業務マップを見れば、物流業・倉庫業の様々な業務がどのように連携して荷物がお客様に届くかが一目で理解できます。
入荷プロセス
メーカや販売会社といった荷主が倉庫にモノを保管させるプロセスを表しています。
荷主は、運送会社に依頼をして指定の倉庫に届けてもらうようにします。
倉庫側は荷物を受け取り、倉庫の指定の場所に保管していきます。
この荷主-運送業者-倉庫業者がスムーズに連携できること、倉庫で素早く、的確に荷物を受け入れて保存できると業務の効率化が図られることになります。
出荷プロセス
発注者(荷主)が荷物の出荷を販売会社等に依頼し、自分の手元に届けられるまでのプロセスを表しています。
この出荷プロセスも入荷同様に企業間のスムーズな連携と、倉庫内オペレーションの効率化が重要となってきます。
入荷、出荷を含む業務が、企業内、企業間でスムーズに進むことが物流・倉庫業の売上利益の増大につながりますが、これまでは人力に頼る業務が多く、高利益体質を作るのは難しかったのでした。
ではどんな問題があるのでしょうか。

まず、物流・倉庫業界全体でよく見られる課題を見ていきましょう。
企業間の情報連携が紙ベースで手間がかかる
集荷や配送の進捗が見えず、問い合わせ対応が大変
人手作業が多く、人材不足や人件費の高騰に直面している
こうした課題は、多くの企業様が共通して抱えており、DXで改善可能な領域です。
次に、倉庫業務に特化した課題を見ていきます。例えば:
入出荷予定と実際の物品が合わない
ピッキングや棚入れでのミスが多い
在庫の所在が不明確
作業員の報告ミスや漏れにより正確な実績把握が難しい
これらの問題を解消するには、情報のデジタル化や自動化が非常に有効です。
運送業者様では、配送管理や進捗管理が大きな課題となっています。具体的には:
配送指示が手作業で属人化している
配達完了報告の漏れや遅れが発生
誤配送や配送漏れが増加している
配送の進捗管理が困難
これらの課題は、ITを活用した効率化が期待できる部分です。
ではこれらのお困りごとはどんな手法で解決できるのでしょうか。次のページで考えてみましょう。

解決のカギは、「設備や装置」で解決できる業務と「IT関連技術」で解決できるものに分けられます。
そしての中心にいるのが「WMS(ウェアハウスマネジメントシステム)」です。
■設備・装置関連について
まず、倉庫DXというと真っ先に思い浮かぶのは、「自動倉庫システム」です。
WMSから作業指示が出ると、ロボットやベルトコンベアが自立動作し、ピッキングから梱包まで自動的に行われるようなもので、大幅な省人化と作業効率向上が図れます。
しかし、設備投資は莫大であり、さらに荷姿や作業が標準化できないと実現できないシステムです。
様々な荷物種類を取り扱う、荷姿が様々、梱包の指定が個別にある、などの場合には、自動倉庫化が技術的に難しいですし、仮に技術的な問題がクリアできたとしても、設備投資が莫大となり、投資回収が難しくなります。
そこで、倉庫業務のうち自動化できる一部分だけを自動化するという発想があります。
それには、自動搬送機(AGV)や、自動荷仕分け機といった「マテリアルハンドリング機器(マテハン機器)」を使っていきます。
これらの機器も決して安くないのですが、作業の正確性や理論上、時間の制約なく作業し続けられることで費用対効果を得られることや、作業の正確性という観点から導入が進んできています。
キーワードとして重要なのは、情報連携の強化、進捗管理の自動化、そして人手作業の削減です。例えば、IoTを使ってリアルタイムの情報を共有する仕組みや、自動化技術を取り入れることで、効率化と正確性の向上が期待できます。
いかがでしたでしょうか。DXの推進は容易ではありませんが、小さな一歩から始めることで、確実に変化を生み出すことができます。決してあきらめず一つ一つ考えていきましょう。
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